第5回水戸まちなかデザインシンポジウムを開催しました
- mitonomachinaka
- 4月18日
- 読了時間: 11分

2025年3月8日(土)、第5回水戸まちなかデザインシンポジウムを開催しました。
今年度の活動報告に加え、茨城ロボッツ社長・川﨑氏による講演と、水戸のまちなかに関わる方々による「連携」をテーマとしたディスカッションを行いました。
本シンポジウムは、ZoomウェビナーとYouTube Liveを使用してオンラインで開催し、コメント機能を活用しながらみんなで水戸のまちなかの未来を考えました!
当日の動画は、水戸まちなかチャンネル(YouTube)よりご覧ください。
活動報告
はじめに協議会の概要と未来ビジョン、これまでの活動についてご説明したあと、「連携ビジョン」の素案として、まちなかの連携の現状や今年度の「水戸まちなかリビング作戦2024」での実験結果、そこから見えてきた課題や将来像についてご報告しました。
協議会の概要やこれまでの活動等については、水戸まちなかチャンネル(該当部分より動画が再生されます)をご覧ください。
《まちなかの連携の現状》
中心市街地である水戸のまちなかには様々な主体が存在し、それぞれのコンテンツが多くの人を引き寄せています。しかし、特定の施設からまちなかへの波及は弱い印象があり、事業者間の連携も限定的です。
スライド画像はクリックで拡大表示できます
《水戸まちなかリビング作戦2024での実験結果》
3月末まで延長中の「水戸まちなかリビング作戦2024」では、昨年度に引き続き、国道50号の歩道にてパークレット・駐輪場・デジタルサイネージの設置などによる空間活用を実施しています。デジタルサイネージに掲出する情報は、水戸まちなかリビング作戦実行委員会が周辺事業者と連携することにより、情報を集約しています。
茨城ロボッツの試合前後に水戸のまちなかを楽しんでもらうための仕掛けとして、茨城ロボッツや商店街と連携して以下の企画を実施しました。
①ホームゲーム実施日に観戦チケットを提示した観戦客へのサービス企画
②試合前後にまちなかを楽しむまちあるき企画
③お役立ち情報を集約したデジタルマップの配信
④水戸駅北口ペデストリアンデッキへフラッグ・懸垂幕の設置
本実験に関するアンケートは2月14日時点で437件回答があり、取り組みへの全体的な共感度は高い一方で、企画の認知度・発信に課題があることが読み取れます。
《連携における課題》
以上の連携事例と実験結果から、水戸のまちなかでの連携の課題は、主に具体的なビジョンが共有されていないこと、連携が限定的かつ負担が大きく広がっていないこと、人々からの認知が不足していることが挙げられます。一方で、情報発信での連携によって、それぞれの認知度の向上が期待できることも確認できました。
《目指すべき将来像》
協議会の考える理想は、それぞれの関係者が主体的に関与する「互いを生かし、まちを使い倒す連携」です。そのためには、共通のビジョンを持った連携のネットワークが必要であり、協議会がエリアプラットフォームとして引き続きしっかり機能していくことが重要です。
《将来像の実現に向けて》
これまでの取り組みや個々の力でも成果は生まれていますが、それぞれの強みを生かしながらエリア一体で連携できれば、さらに魅力的なまちなかになります。まずは相乗りから始めて、連携体制を着実に育てていくことが重要です。
特別講演
株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント 代表取締役社長の川﨑篤之氏より、「茨城ロボッツ×まちづくりで目指す未来」をテーマにご講演いただきました。
本記事では、川﨑氏の言葉を抜粋してご紹介します!全編は、水戸まちなかチャンネル(該当部分より動画が再生されます)よりご覧ください。

「茨城の未来にはロボッツが必要だ」と、冒頭から強く語る川﨑氏。
「私たちはバスケットボール会社ではなく、まちづくりカンパニーだと思っている。スポーツの力、エンタメの力、メディアの力を使いながら、スポーツが持つ夢、誇り、感情の共有をドライブにして活力を作って、地方創生の魁モデルを水戸に作りたい。日本全国の商店街の元気がない中で、スポーツができるまちの活性化、スポーツを使ったまちの活性化をやりたい。それはバスケだけではダメで。バスケ以外も色んなことを仕掛けていかなければいけないと思ってやっているのがロボッツという会社。」

「ロボッツの試合がある日はM-SPOでマーケットが毎日行われていて、まずはM-SPOに寄ってからアリーナに行く。まちなかで大売出しがあって、そのお店に行くと、店舗の皆さんがユニフォームを着ている。あるいはお客様向けのツアーが展開されていて、外から来たお客さんも水戸のまちなかを歩くことができる機会が提供されている。さらに試合前後は居酒屋が大盛況している。ロボッツがまちの共通の話題になり、それがまちなかでどんどん展開されていったらいいなと思う。
そのために水戸駅からアリーナまで、ロボッツののぼりやタペストリー、ポスターが今まで以上にたくさんある風景をつくりたい。M-VISIONやM-SOUNDを使いながらまちをつくってみたい。特にM-SOUNDは、本州で唯一残ってい る街頭放送で、地元の大学生たちが番組を展開しながら今週のまちなかのイベントラインナップを発表していたら、最高に面白いと思う。さらに試合がない日もパブリックビューイングが各店舗やM-SPOで展開されている。」
「こんなことを繰り返しながら、子どもたちの記憶に残る故郷を作る。10年・20年先、このまちをなんとかしようと思う皆さんに託せるように、今、私たちは種まきをしなければいけない。
みんなで声を枯らして、応援して、熱狂する。
そして、家族と一緒にアリーナのあるまちに行くことが楽しみになる。
そして、まちの風景と暮らしが変わっていく。
その結果、茨城、水戸、地元を誇りに思う。
次の世代の種まきをこのまちなかでやるということが私は重要だと思うし、そのタイミングで茨城ロボッツを徹底して使い倒して、このまちの一つのシンボルにし、まちを青色で染めていくことができたらと思っている。そういう物語を多くの皆さんと共有し、夢を共有し、アクションを起こしていく。それを行政と民間の連携でやっていく。コミュニティをつくって、プラットフォームを強くしていく。その役割を、これらもロボッツはやっていきたいと、改めて思っている。」
ディスカッション
■パネリスト
川﨑篤之 (株式会社茨城ロボッツ・スポーツエンターテインメント 代表取締役社長)
鈴木絵理衣(株式会社コンベンションリンケージ コーディネーター)
黒澤昌寿 (南町商店街連合会長/南町二丁目商店街振興組合理事長)
大森賢人 (水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会 事務局)
水戸のまちなかの「連携」をテーマに、今年度の振り返りやこれからの取り組みについてディスカッションを行いました。全編は、水戸まちなかチャンネル(該当部分より動画が再生されます)よりご覧ください。
《現在の状況》
●鈴木氏
水戸市民会館の来場者数は、190万人に届く勢いで増えている状態。市民会館の特徴として、多目的に使える大小様々なスペースを市民が自由に使えて、アーティストと同じステージに立って夢を作れるところが大きいと思う。施設の利用も平均して毎月230件前後で、利用者だけでも毎月2万人が来場している。人が全くいない日はなく、最近は近所の方が立ち寄って「今日はコンサートをやっているの?」と私たちに声をかけてくれるなど、まちの方々との交流も増えてきている。
まちなかとの連携施策としては、MitoriO周辺グルメガイドのほか、水戸市民会館感謝祭や水戸キャンパス100など、市民が集まりやすいようなイベントを開催している。それらの情報は、南町三丁目の店舗やパークレットのデジタルサイネージなどで宣伝するなど、広報の部分でも連携している。
●黒澤氏
南町二丁目商店街振興組合は、現在正組合19店舗、賛助会員27店舗の合計46店舗で組織されている。県庁の移転や東日本大震災を経て廃業する商店が増え、ビルやマンションが建ち並ぶ間に商店がぽつぽつとあるような状況になってきているのが現状。商店街の活動としては、「水戸黄門まつり」の参加や、年2回のコンサートイベントの開催、大通りの花壇の植え替え「花いっぱい運動」、冬期のイルミネーション、情報誌の発行を行っている。
活動の中の連携として、「花いっぱい運動」では、水戸市植物公園職員の方や近隣の学生、水戸まちなかデザイン会議メンバーがボランティアで参加している。近隣の幼稚園・保育園とは、子どもたちがイベントでステージに参加したり、クリスマスの飾りを作ってまちなかに飾ったりして、にぎわいを出すという形での連携をとっている。
《現在抱えている課題》
●川﨑氏
まちが好きだと思う人たちの力をどのように結集できるか。例えば市内の様々な団体が一生懸命ポスターを作っているお金を掻き集めれば、まちなかのバス停にデジタルサイネージを1本ずつつけて運営するくらいのお金になるはず。それを誰かがちゃんとコーディネートすることで、いつもワクワクする情報が溢れているまちなかにできる。バラバラに人と金が動いているから、できることがぐっと減っていると思うため、やろうと思っていることを束ねて、一つの方向性で無駄なく一緒に発信する必要がある。商店街をメディアにして、「水戸っていろんなことが起こっていてワクワクする場所だぜ」ということを、みんなでまとまって方向づけして出せるかに尽きると思っている。
●鈴木氏
情報は欲しいがコンテンツの見つけ方が分からない人に対して、どうしたら情報を目にしてもらえるかがすごく難しいと常に思っている。年配の方が非常に多い中で、インターネットに載った情報には全くついて行けず、電話で直接問い合わせたり、市報に載ったチラシを片手に窓口へ問い合わせたりする方も多い。バラバラに出していたものを、時期を合わせて大きくどんと出す一体感があると、情報を追いにくい層にも生活の一部となって届くと思う。
●黒澤氏
情報発信にしろコンテンツ作りにしろ、人材不足が一番の課題。組合員が震災前と比べて半減していることもあるが、実際に動ける人がほとんどいない。私より年齢が上の方は、従来なら引退してもおかしくない年代の方が多く、下の方は自分のお店と会社を回すのに手一杯で、外に出られない状況になっている。
《来年度に向けて》
●黒澤氏
どうしても商店街が人材不足というところで、何をやるにしても人がおらず、従来やっていることを継続していくことすら難しくなっていて、新しいことはとても取り組めないのが正直なところ。少し収益化を図りたいところとしては、まちなかにフラッグを付けられる部分。今は梅まつりやロボッツなど公共的なものを無料で掲示しているが、一般企業にも貸し出して収益化し、その収益を連携などに回していくことによって、連携の幅が広がる方向で使えないかと考えている。
●鈴木氏
水戸市民会館が開館して現在1年半ぐらい経ったところで、7月で丸2年。引き続きにぎわいを持続するところが大事だと思っている。周辺店舗との1番のつながりであるMitoriO周辺グルメガイドはもちろん、引き続き黄門祭りや水戸まちなかフェスティバルなどの大きなイベントの時に、市民会館を休憩場所や憩いの場として活用していただいたり、イベントに合わせてこちらが独自に+αの催事を考えたりと、皆さんが集まってくれるような施策を考えていけたらと思っている。
●川﨑氏
水戸駅を降りてからロボッツの試合会場までの景色を全て青にしたい。そうすることで、水戸はやっぱりワクワクするまちだと魅せられると思っている。あとは人が居る、金が集まる仕掛けを考えないと、やりたいことが沢山あってもできない。ロボッツとしては発信力もついてきているため、まちのエンジンとなり、外に対して発信できるまちのメディアになっていきたい。
2026年のBリーグプレミアからは平日のゲームが大幅に増えるため、集客のやり方を変えなければならない。まちなかで仕事をしている人たちが仕事帰りにロボッツを見に行って飲んで帰る、ナイトタイムエコノミー文化をつくる。そのために、まちなかの企業やそこで働いている人々をどう巻き込んで、仕事帰りにご飯を食べて帰ってもらうか、酒を飲んで帰ってもらうか、遊んでもらうか。このまちが楽しいと思ってもらって、土日に子供たちを連れてくるところまでつなげられるかが、次にチャレンジしなくてはいけないことだと思っている。
総括
今回我々が行っているような取り組みは、全国でもたくさん行われている。各地のシンポジウムで多くのすごい事例を聞くが、今日の話を聞いて、他のシンポジウムでも水戸の事例を発表すれば、水戸はすごいと思うだろうと思った。それくらいしっかりやっているように、少なくとも表面では見える。
大事なのは継続することだと思うが、アイデアや想い、具体的なビジョンを、それぞれの現場で持っている点にとても安心できた。もう何をやってもダメだと、何も出てこないと言うのではないことが、大変力強い。5年間で取り組みに関わる人も増えており、足並みも揃えられそうだ。課題として挙げられていたのは、まちをメディアにしていく中で、全体を見てメディアのデザインをどうするかという点と、資金について。資金は本当にそろそろ考えたいところである。
川﨑氏の話は、とても楽しくわくわくした。全て川﨑氏に任せておけばなんとでもなるかと思うほど心強いが、ロボッツや色々な団体と協議会がどう相乗りしていくかが課題である。今年度は水戸まちなかリビング作戦実行委員会が核となり、そこに集約して発信したとのことだが、核を実行委員会からどのように形にしていくか考えていく必要がある。
水戸のまちなか大通り等魅力向上検討協議会 会長
金利昭
この取り組みが少しでも気になったみなさん
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